一口食べただけで、「うわっ!このレタスすごい新鮮ですね!」と驚いてもらえるサラダの作り方があります。
それが、「トスド・サラダ」。
パリパリのレタスをヘナヘナにせず、パリパリのまま食べられるサラダです。
トスド・サラダのポイントは、オイルをかけた野菜を10~15センチくらい持ち上げて落とすこと。この動作が「トス」ですね。 軽くフワッと放り上げる感じでもいいです。
何度もトスを繰り返すことで、野菜の表面をくまなくオイルでコーティングできます。
それから塩を溶かした酢であえると、野菜と塩が直接触れないので、パリッとした食感を保てるのです。
さて、この「トスド・サラダ」ですが、問題が一つあって、大きなサラダボウルがないとうまくいきません。サイズが小さいと、トスされた野菜がヒラヒラ舞い落ちる時に、ボウルの外にこぼれてしまうのです。
うまく着地させようとすると、一度につかむ野菜をなるべく少なくして、持ち上げるのも5センチくらいにして、慎重に少しずつ……
これでは、時間もかかるし、面倒だし、おいしくなりません!
そこで、大きめのサラダボウルが欲しくなるのですが、これが絶望的に見つからないのです。
料理研究家だった父は著書の中で「大きなサラダボウルを求めて、誇張でなく日本中を巡り歩いた」と書いています。
「木工展があると聞けば顔を出し、地方に行ったときはくまなくのぞいて回った。しかし、安心してトスのできるボウルは見つからなかった……」
そんな父は、米国二ューメキシコ州の田舎町でとうとう「おぉ!これだっ!」と叫びます。
「その僻地の台所用品店に直径45センチという見事なサラダボウルが鎮座しているのを見た瞬間の驚きと喜び、そして、早く買わないと、という焦りの入り混じった感情をどう表現したらよいだろう。
店内には客は私しかいなかったが、人に先を越されてはならないと、足をもつれさせながらサラダボウルに近づいていき、しっかり両手で確保したのだった」
ぼくも最近になって、大きなサラダボウルが欲しくなりました。
料理教室でトスド・サラダをご紹介することにしたので、きちんとした道具で作りたかったからです。
そこで、海外のショップも含めてネットで探し周ったのですが、父と同じく絶望ループにはまってしまいました。
そもそも、大型のサラダボウル自体が、とても少ないのです。トスをしないのであれば、40センチ超級はいらないので、需要がないのでしょう。
いかにも大量生産ぽいものではなく、愛着の持てる一点物が欲しい……
分厚いつくりで重過ぎるのはイヤだ……
予算は、1万以内で……
と条件をつけていると、マッチするお相手が一人も現れません。半分あきらめかけていたのですが……
神奈川県の「ららぽーと平塚」にある輸入雑貨店の前を通りかかった時、写真にある器にビビッときました。
第一印象は、「何だ、こいつ! デカ過ぎないか!?」
もともとの用途はサラダボウルではないのでしょうが(おそらく、フルーツを入れるとか)、規格外の大きさに目を奪われました。
「ボウル」と呼べる深さはないのですが、内径が40センチあり、舞い落ちるレタスを残らず受け止める包容力がありそうです。
価格も税込み6000円くらいで割安な感じ。同じフロアのカフェでしばらく頭を冷やし、あれこれ迷った挙句、衝動買いしてしまいました。
実際、試してみると、快適です!
手早くトスを繰り返しても、レタスたちは飛び出しません。
それまでトスド・サラダを作る時には、うちにある一番大きなボウル(サラダボウルではありません)や一番大きな鍋を引っ張り出したり、小さなボウルでチマチマとトスしたりしていたのですが、全然違います。
のびのびした気分になり、気持ちよく楽しくサラダを作れます。
まとめますと、トスド・サラダをつくる器は、サラダボウルにこだわる必要はなさそうです。
器の深みはあまりなくても大丈夫。
内径は、40センチ以上があるといいですね。
ちなみに、写真に写っている木製のサラダサーバーはニュージーランドで購入したものですが、とても使いやすいです。
【 by 平田ホリスティック教育財団 理事 丸元康生】
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