腸の健康状態は、全身の健康のバロメーターになります。
そして、腸の健康を大きく左右するのが、腸内に住み着いている細菌たち。
今回から、腸内細菌と腸の関係について、一歩ずつ解説していきしょう。
ヒトの「からだの中の世界」と「外の世界」の境目となる表面は二種類あります。
皮膚と消化管です。
からだの内界と外界を分ける壁である皮膚と消化管。
この2つの壁の構造はかなり違います。
まず、皮膚の壁。
こちらは、たくさんの細胞が重なって作られています。
皮膚の下の方で赤ちゃん細胞が次々に作られ、レンガを積み重ねるように何層もの細胞が積み重なっていきます。
外界と直に接しているだけに、皮膚をとりまく環境は過酷。
虫さされ、バラのトゲ、ガラス片、太陽の紫外線、暑さ寒さ、水虫菌など、常にさまざまな脅威にさらされています。
それに対抗するために、分厚い壁を用意する必要があるわけですね。
目には見えませんが、消化管の環境も相当に過酷です。
有害な微生物が口から入って来たり、食べたものが腸内で腐敗して毒素が作られたり……
こうした「危ないもの」と直に接している消化管の壁、たとえば腸の壁はどれくらいの細胞が積み重なっているのかというと……
たった1層です!
皮膚が電話帳くらいの厚みがあるとしたら、消化管は紙1枚だけのぺらっぺらな壁なのです。
腸には、「栄養素を吸収する」という大事な役割があります。
そのため、細胞一層だけの薄い壁にして、栄養素がスイスイ吸収されやすい構造になっているのです。
壁の下には血管が通っているので、吸収された栄養素はすぐに血流に入っていきます。
皮膚の場合、たくさんの細胞をかきわけ、何10もの層を突き抜けないと血管へたどり着けません。
皮膚は何かを積極的に吸収する場所ではないので、このようにひたすらシャットアウトする壁が適しています。
一層の壁は、栄養素を吸収するには好都合ですが、危険なものをブロックする防壁としては0。
頼りなさすぎます。
そこで、腸が危険物をブロックするための特殊な仕掛けがあり、腸内細菌も重要な役目を担っています。
次回に続く……
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