毎日食べている食事は、からだの栄養にもなるし、腸の中に居座るゴミにもなります。
どうせなら、ゴミを残さずに、きれいに消化して役立てたいですよね。
そのために、カギになるのが胃酸です。
そして、必要な時に胃酸をきちんと分泌させるために、自分でできることがあります。
胃酸の分泌には、ある程度自分でコントロールできる余地があるのです。
今回は、食べる時の意識の持ち方が、胃酸の分泌にどうかかわっているのかを見てみましょう。
胃酸を分泌するメカニズムには、いくつかの種類があります。
まず、食事をして食べものがドサドサと胃に入ってくると、胃袋がふくらんで内側の壁が圧迫されます。これが刺激になって、幽門(胃と小腸の接点にあります)から、ガストリンが分泌されます。
ガストリンはホルモンの一種です。「胃の中にタンパク質やアミノ酸がたくさん入ってきた時」や、「食べものが胃に入ってきて、胃液のpHが高まった時」にも、同じように幽門からガストリンが分泌されます。
さて、ガストリンが壁細胞までやってきました。
「壁細胞」って……胃酸の材料を分泌する細胞ですね。
壁細胞の細胞膜には、ガストリンがスポッとはまる受容体があります。
ガストリンと受容体が合体すると、それが刺激となって、壁細胞のポンプが稼働し始めるのです。
胃酸分泌を促すメカニズムの2つ目。
五感を通して「おいしい刺激」をしっかり感じると、「食事をした」という動作が脳と繋がります。そこで脳は、副交感神経を使って、「胃酸を分泌しなさい」というメッセージを胃に送ります。
副交感神経は、胃の壁細胞のすぐそばまで繋がっています。脳からの指令が伝わってくると、最後に神経の末端からアセチルコリンが分泌されます。
壁細胞の細胞膜には、このアセチルコリンがピタリとはまる受容体があります(さっきの受容体とは別のかたち)。この合体でも、先ほどと同じように胃酸を作るポンプの働きが刺激されます。
ガストリンとアセチルコリンのお仕事はまだ終わりません。
胃酸分泌メカニズムの3つ目があります。
胃の組織には、「ECL細胞」という細胞があって、この中にはヒスタミンがストックされています。ガストリンとアセチルコリンには、ECL細胞が貯めていたヒスタミンを吐き出させる働きもあります。
壁細胞の細胞膜には、ヒスタミン専用の受容体もあります。
その先は、先ほどまでと同じ。
受容体と合体すると、胃酸の分泌が促されます。
このように、「おいしい刺激を感じること」は、胃酸を分泌するメカニズムの一部として組み込まれています。意識の持ち方一つで、食べものを消化したいタイミングで胃酸の分泌を促せるということです。
そして、胃酸がきちんと分泌されたかどうかによって、消化酵素の働きは大きく左右されることになります。
それについては、また次回!
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