ぼくは、インドカレーも、欧風カレーも、おそば屋さんのカレーも大好きです。タイカレーやスープカレーもいいですね。
でも、家で食べる時は、たいていインド風です。タマネギをアメ色に炒めたものをベースにして、4種類くらいのスパイスを使って作っています。
今日お話ししたいのは、その「タマネギの炒め具合」について。
ずっとハチミツやキャラメルに近い色で完成にしていましたが、インド料理研究家の香取薫先生の教室で、もう一歩も二歩も加熱する必要があると教わりました。それからは黒糖アメくらいまで炒めています。
コゲついてはダメですが、こげる直前まで炒めた方が甘味も強くなるし、抗酸化力も高まるようです。
タマネギを炒めていくと、強力な抗酸化成分として知られているメラノイジンが作られます。メラノイジンは味噌や黒ニンニクなどにも含まれていて、色が濃くなるほど含有量が増えていきます。ですから、白味噌より赤味噌、赤味噌より八丁味噌の方がメラノイジンの量が多く、抗酸化力も強いのです。
タマネギの炒め具合によって、抗酸化力がどのように変化するかを調べた研究があります。それによると、生のタマネギの抗酸化力は、47(単位は、μmol T rollox相当量/100g)。透明感が出るまで炒めると、抗酸化力は59にアップします。アップはしますが、まだ生タマネギとほとんど変わりませんね。
さらに炒めるにつれて、抗酸化力はきれいな直線を描いて上昇し続けました。濃い茶色になるまで炒めると抗酸化力の数値は613。生タマネギの約13倍に跳ね上がっています。
一般的な野菜では、比較的抗酸化力が強いとされるものでも200前後におさまることが多いので、黒糖アメ色のタマネギは相当に強力です。
食材には様々な抗酸化成分が含まれていますが、熱を加えられると分子構造が壊れてしまい、抗酸化パワーが落ちるように思われがちです。でも、炒めタマネギのように、加熱することでどんどん抗酸化が強まるケースもあるのですね。
インド料理でよく使われるスパイスにも強力な抗酸化力がありますし、それと濃いアメ色のタマネギを組み合わせるのは、民族の知恵の結晶の一つなのでしょう。
ところで、大量のタマネギをアメ色に炒めようとすると、それなりに時間がかかります。その間、ずっと鍋にはりついて、木べらでかき混ぜ続けるのは大変です。
ステンレス多層構造鍋があると、ふたをして弱火にかけて放っておけば調理が進むので、作業の8~9割は自動化できます。最後の1割ほどは、木べらでガシガシ炒めないといけませんが、それでも随分楽ができますよ!
【by 平田ホリスティック教育財団理事 丸元康生】
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